ダウ理論とは

ダウ理論

ダウ理論はアメリカのダウ・ジョーンズ社の創立者、リチャード・ダウ(Charlz H.Dow)氏
が、19世紀末に『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に寄稿した論説から
考案された分析法で、テクニカル分析の元祖とも呼ばれています。
リチャード・ダウ氏は、もともとニューヨーク証券取引所での相場に関する記事を担当して
いました。その経験から1882年にダウ・ジョーンズ社を設立してニュースレターを配布、
それが発展して、後に「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙となっています。

ダウ理論は、発表当初は主に株価分析に利用されていましたが、やがて、ダウ理論が持つ
汎用性から、商品先物、為替、個別の株価銘柄でも、利用されるようになりました。
そのダウ理論は6つの法則で構成されています。

ダウ理論の6つの法則

ダウ理論の中でも相場取引に必要な法則の順に記載しますが、特に上位3つが重要です。

1.主要トレンドは3段階からなる

ダウ理論3ステップ

トレンドは長期投資家、中期投資家、短期投資家の動向によって3段階で構成されます。
上の図では、緑色が短期投資家が形成した移動平均線、オレンジ色が中期投資家が形成した
移動平均線、そして赤色が長期投資家が形成した移動平均線です。

第1段階:買いが集まるエリア
「もう下がらないだろう」と考える長期投資家が徐々に底値買いをしている段階。

第2段階:トレンドが形成されるエリア
第1段階の価格上昇を確認して、「そろそろ上がるだろう」と考える中期投資達が
追随している段階。トレンドが形成され、価格はゆっくりと上昇します。

第3段階:相場が天井をつけるエリア
価格上昇を見続けていた短期投資達の参加も相次ぎ、価格が急激に上昇する段階。
「まだまだ上がるだろう」と考える人の参加が続く裏側で、長期投資家、
中期投資家たちの利益確定の売りが出始め、価格は上昇するが、上げ幅は小さくなり、
やがて暴落していきます。一般投資家たちが高値掴みをしやすい段階です。

相場には、いろいろな時間のチャートを使う投資家が参加しています
ダウ理論3ステップ2

長期投資家は長期移動平均線を作り、中期投資家は中期移動平均線を作る。
そして短期投資家は短期動平均線を作ります。
短期投資家の売りは、中期投資家の押し目エリアを作りますし、中期投資家の売りは、
長期投資家の押し目エリアを作っています。
ダウ理論の主要トレンドは、この3者の心理状態を反映して形成されます。

※※※
多くの相場参加者がいる事を(つまり、相場の環境を)、よく理解しましょう。
自分だけが相場にいるように錯覚すると、思わぬところで「ポジション」を
持ったり、「損切り」をかけたり、まだ伸びるのに、さっさと「利食い」をしたりと、
混乱した売買をしてしまいます・・・

2.トレンドは出来高でも確認されなければならない

ダウ理論・出来高

ダウ理論ではトレンド状態の判断材料として出来高を重視しています。
上昇トレンドの場合、出来高は価格上昇に伴って増え、天井圏では減少。
下降トレンドの場合、出来高は価格下落に伴って増え、底値圏では減少との考え方をします。

FXでは出来高を確認することは出来ませんので、その代わりに、出来高と関連性が深い
オシレータ系のインジケータ、RSIやストキャスティス等を代用する事になります。

※重要なのは価格の動きです。オシレータは2次的指標で、価格の動きと同様の動きが
確認されてこそ指標として役に立ちます。

3.明確な転換シグナルが発生するまで、トレンドは持続する

ダウ理論・トレンド

ダウ理論では、この法則が一番有名です。今日のトレンドフォローのテクニカル手法は
「明確なトレンドの転換シグナルが確認されるまでは、現在のトレンドは継続する」
という、この法則を大前提としています。

ダウ理論は、一度トレンドが形成されると、
上昇トレンドでは、波を描きながら、高値切り上げ・安値切上げを繰り返します。
同様に下落トレンドでは、波を描きながら、高値切下げ、安値切下げを繰り返します。
トレンドが継続しなくなるとは、そのパターンが崩れた時をいいます。
ダウ理論・トレンド2
FXは、トレンドが発生しやすく持続が続く相場ですので、ダウ理論は大変マッチ
していると言えます。

4.3種類の長期トレンドがある

ダウ理論・長期トレンド
長期トレンドには、次の3種類があるとされています。

1.主要トレンド
1年~数年にわたる長期的なサイクル
2.2次トレンド
主要トレンドの調整局面とされ3週間~3か月ぐらい継続する中期的なサイクル
3.小トレンド
2次的トレンドの調整局面とされ、3週間以下の継続するサイクル

ダウ理論の3種類の長期トレンドとは、上記の3つのトレンドは1セットであり、
各トレンドは互いに独立しているというわけではなく、2次トレンドは主要トレンドの調整、小トレンドは2次トレンドの調整と考えられています。ダウはこれらを「波」という捉え方をしていました。

小さい流れは、大きい流れには逆らいにくいという点を示唆しています。

5.2つの株価平均でシグナルが確認されなければいけない

ダウ理論・ダブルシグナル

1種類の株価平均だけでは判断に誤りが生じるので、2つ以上の株価平均で
シグナルを確認するとのことです。
1つのシグナルが確認よりも、複数のシグナルを確認することによって、
明確で信頼度の高いトレンド分析が出来るとの事です。

ダウ理論の弱点
ダウ理論はテクニカル分析の基礎ですが、シグナルが確認できるのが少し遅い
という欠点があります。その為、移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI等の
テクニカル指標とあわせて活用する事が必要になります。

6.すべて市場価格に織り込まれる

ダウ理論・全て含む

ダウ理論の基本スタンスは「価格はすべての事象を織り込む」というものです。
つまり、天候リスク、戦争、経済指標などファンダメンタルな要素を含め、
全てが「チャートの価格」に織り込まれているという事になります。


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